美をとる?健康をとる?それとも両方! [ハイヒールが必要な私、必要でない私ーハイヒールを履く心理

アルツハイマー病やパーキンソン病の施設でインターンをしていたころ、
クライエントのおばあちゃんたちは
おしゃれとは程遠い生活をしてました。

あるとき、ネイルのプロ、ネイリストがやってきて
おばあちゃんたちの爪をきれいに彩ってくれました。

わくわくしながら仕上がりを待つおばあちゃんたち。
終わると同時に見て見て~!と10代の少女のように
嬉しそうに興奮する姿が強く印相的でした。

その時に思いました。

おしゃれに興味ないと思っていた女性でも、
「美」を求める心はもともとあるものだと。

今日は、
自然の美しさ vs. 人工の美しさ [ハイヒールは美しい?] 
の続編です。

自分が求めている美しさってなんだろう?
女性としての価値観ってどんなんだろう?
ハイヒールをとおして見て見ましょう。

<ハイヒールをやめてしまった男性たち>

前回はハイヒールが体にどう影響するか、
医学的に見て見ました。
今回は歴史的にどう変遷してきたかをみて
価値観のうつりかわりを確かめてみましょう。

ハイヒールの歴史は意外に古く、
古くは紀元前400年のアテネで
「背を高く見せるため」に男女問わず
上流階級で普及していたようです。

背を高く見せたい、という欲求は
鳥や動物たちが「自分を大きく見せる」
ために翼を大きく広げたり、立ち上がったりする
感覚とにているように思います。

社会で自分を誇示でき、
大きく強く見える。
生物的な欲求がファッションと結びついたのかも知れません。

次に知られているのは、
町中が汚物で汚れていた中世ヨーロッパで
「服を汚さず歩くため」必要から生まれたものでした。

当時のヨーロッパ。
ひどい状態です。

でも歩きにくいのと見た目も悪かったので
普及はあまりしなかったようです。

次にブレイクしたのは
16世紀末ヨーロッパ。

貴族の間で「ファッション」として
これも「威厳を示すため」普及したとのこと。

フランスのルイ14世が愛用していたのは有名です。
ルイヒールと呼ばれているものです。
(ヒールの付け根が太く中ほどがくびれ、地面に向かって太くなる曲線的なヒール)

これはルネッサンス、イタリアの上流階級で履かれたチョピンという
ハイヒールの原型と言われているものです。

高いものでヒール60㎝もあるとか!

「背を高く見せる」「汚物から身を守る」「威厳を見せる」
ハイヒールの歴史はいろいろと変遷しますが、
今のように「女性の美」の象徴として捉えられるのは
歴史がもう少したってから。

男性たちはあるときを機にハイヒールをやめます。
それは「戦争」。

そう、実用的でなかったんですね。
走れない、足が疲れる、腰も疲れる、
これでは戦えません。

戦争が始まると、男性たちはハイヒールを脱ぎ捨てて
それっきり、歴史上で履くことはなかったようです。

こうして、女性だけの間で履かれるファッションとして定着していったようです。
そして、今、また女性の間で新しい変化が起こっています。

<ファッションは誰のため?>

昨今、世界的に女性の中でハイヒールに対しての
価値観が変わりつつあります。

日本では、通勤時やフォーマルな場ではまだまだよくみかけますね。
オフィスでは、まだまだハイヒールを推奨する会社が多いとのこと。

2019年に始まった社会運動があります。
「#KuToo」

これは
仕事場において女性だけがハイヒールや
婦人用パンプスの着用を露骨にまたは
暗黙の了解的に強制されることへの抗議活動でした。

オンライン署名1万9千集まり、
2019年6月3日に労働厚生省に提出されました。
TIME誌にも取り上げられ話題になりました。
動画です ↓
Japan’s #KuToo Movement Aims To Stop Employers From Requiring Women To Wear Heels

イギリスでは2015年、職場でハイヒールを履くことを拒否した
ニコラ・ソープさんが帰宅を命じられたことが社会問題になりました。
こちらも、女性が職場でハイヒールの着用を強制されないよう法改正を求めるオンライン請願を開始。
1万筆以上の署名を集めました。
BBC Japan

カナダでは、2017年、コロンビア州が、
女性従業員にハイヒールを履くよう求める服装規定を廃止しました。

1か月前には、オンタリオ(Ontario)州の25のレストランチェーンが、
女性従業員に制服の一部としてのハイヒールと短いスカートの着用を強制することをやめています。

政府は廃止の理由について、
「ハイヒールを履いた女性は滑ったり転んだりする危険性が高く、
足や背中に悪影響が及ぶ恐れもある」と説明しています。
CBC NEWS

靴は足をケガから守るために生まれた生活必需品ですが、
目的が違ってしまったとき、物理的制約を生み、
それは精神的な制約を生むことがあります。

今、世界では少しずつハイヒールへの
価値観が変わりつつあります。

自分の意志で履くハイヒールは
体へのダメージを覚悟の上なので
何も問題はありませんが、

これを社会が強制した時、
そこにはジェンダー問題が生まれてきます。
靴とは、美とは、をもう一度考えさせられる
時代を象徴する出来事です。

美と健康、自分の価値観と照らし合わせて
どうして自分はこれを選ぶのか、
一つ一つ考えて見ること、意識的な選択、
現代のリベラルな女性には必要だと感じます。

ちなみに、最初の写真は
ハイヒールからフラットシューズに
変えることができるという靴。
面白いですね。

<ハイヒールの心>

話は変わって、
ハイヒールの興味深い心理学研究報告をご紹介します。

女性がハイヒールを履いた時にできる
腰のカーブが45.5度に近づくと
男性からより魅力的と評価される傾向がある、
という報告です。

※ 心理学学術誌「フロンティアーズ・イン・サイコロジー」たDavid M. G. Lewis氏らの研究

David氏の実験は、
以下の2枚の写真を男性が比較して魅力を評価してもらうというものでした。

この実験では、印象が結果に影響しないように
ハイヒールは写真から除外し、足の長さ、身長の影響も取り除きました。

実験の結果、
腰の湾曲の角度が45.5度に近づくにつれ、
ハイヒールを履いた女性をより魅力的だと感じる、というものでした。

この結果から、
女性がハイヒールを履く生物学的な理由の1つは、
腰の湾曲の角度が変わることで性的魅力が高まるからではないか、
という予想をしています。

いかがでしょう?
少し納得する部分もある?

かつてマリリンものローがより魅力的に歩けるよう
ヒールの一方を切り落として話は有名ですね。

本能的に女性は男性を引き付ける方法を
知っているのかもしれません。

だとしたら、生物的にハイヒールに男女とも魅力を感じるのは
もしかしたら自然なことのなのかもしれません。

※ Why Women Wear High Heels: Evolution, Lumbar Curvature, and AttractivenessFront. Psychol., 13 November 2017
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2017.01875/full>

健康や自然の美を選ぶ?身体的女性の美を選ぶ?
時と場合で使い分ける?

ファッションは自己表現です。
意識的にファッションを選ぶ
ことで自由が生まれます。

また自分がどんな価値観をもった人間か、
どんな人でありたいか、
ワードロープをもういちど見回して考えて見ると
今まで気づかなかった自分が見えてきます。

ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。

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