体と心は、複雑に絡み合っている
ヨガとカウンセリングの現場に立って23年、ひとつだけ確実に言えることがあります。
体と心は、切っても切れないどころか、想像以上に複雑につながっている。
心だけを見ても、体だけに注目しても、うまく噛み合わない。ときに逆効果になることすらあります。
けれど、体と心を同時に見ていくと、バランスが戻るスピードは思いのほか速い——そんな経験を何度も重ねてきました。
こういう経緯から、今、私は「体と心の“司令塔”」と言われる「意識(consciousness)」の研究にも取り組んでいます。とはいえ、この話は少し奥が深くなるので、今日のテーマはもう少し日常的なところから。
「大腸と肌と不安」について。
東洋医学と心理学、そして臨床の現場での知見から、少し掘り下げてみます。
望診法——顔は内臓の鏡:「顔は語る」って、本当だった⁉︎
東洋医学の診断技術のひとつに「望診法(ぼうしんほう)」というものがあります。これは、肌のツヤ、目の状態、唇の色、舌、爪、仕草などを通して、内臓や気血の状態を読み取る方法です。
たとえば、こんな具合です:
• シミが増えている → 糖分のとりすぎ
• まぶたがふくらんでいる → 腎の機能低下
• 頬が赤い → 肺の不調
• 上唇が腫れている → 小腸の弱り
• 顔色が青白い・唇が色褪せている → 血虚、特に鉄分不足の可能性
•
体の外側には、毎日の内臓コンディションがそのまま映し出されている、それを読み解く方法です。
日々の“クセ”が語る、心の状態を語っている:外側だけじゃなく、内側にも手を入れる
さらに、心理学の視点を加えると、表情やクセにも情報が詰まっています。
• ネックレスを頻繁に触る
• 前のめりで話す
• 目を頻繁に覆う、細める
こうした無意識の動作(ノンバーバル)は、心の状態を如実に反映します。
「肌がきれいですね」「ふっくらした唇ですね」という美容的な評価とは異なる、“別の層”のメッセージが、そこには潜んでいるのです。肌トラブルの根は、「大腸の疲れ」かもしれない
肌トラブルの根は、「大腸の疲れ」かもしれない
「肌をきれいにしたくて、ヨガを始めました」——そんな声を耳にすることは少なくありません。
実際、ヨガで血流が促進され、肌の質感が変わる人は多いのも事実です。
でも、そこに東洋医学の視点を重ねると、もう一段深い層が見えてきます。
肌の状態は「大腸」の状態と密接につながっているというのが東洋医学の見方です。
大腸は便や汗を通じて老廃物や余分な水分を排出しますが、その機能が落ちると、老廃物が滞り、
皮膚炎、湿疹、吹き出物といったかたちで、肌に“排出しきれなかったもの”が浮かび上がってきます。
さらには口内炎、便秘、喘息、胃潰瘍なども、大腸の不調と関連すると考えられています。
肌のどこに、どんな色や質感の変化が、どのくらいあるか。
それは単なる寝不足や外的刺激のせいではなく、内臓からのサインかもしれません。
“見えているところ”だけをケアするのではなく、その奥にある原因へ目を向けることが、肌と心の両方を整える本当の近道になる。そんな新しい視点と、根本的なアプローチのヒントがここには隠されています。
腸の偏り、その裏にあるストレスや疲労
では、なぜ大腸が弱るのか?
まず考えるべきは、食生活の偏りです。
• 冷たいものや生野菜、果物、甘いものばかり食べている → 陰性に偏る
• 辛いもの、肉、スナック類ばかり食べている → 陽性に偏る
食べものには「陰(冷・潤)」と「陽(温・乾)」という性質があり、
バランスが崩れると内臓の働きにも影響が出ます。
でも、ここで一歩進めて考えるべきなのは、
「なぜその偏った食事を選んでいるのか?」ということ。
たとえば:
• スイーツがやめられない → ストレスで交感神経が張りつめている
• 辛いものや濃い味ばかり → 精神的に疲労していて、刺激で元気を出したい
つまり、肌荒れや便秘の原因が「腸」だったとしても、その背景には「心」がある。
無理な食事制限よりも、まずはこの“奥にある原因”に手をつける必要があります。
体と心、同時に見ると、整い方が違う
私のアプローチ例です
たとえば、陰性過多の状態であれば:
• 体からのアプローチ:
呼吸法(副交感神経を優位にする)
シャバアサナで誘導瞑想
陽性の食事(味噌汁、根菜、発酵食品)
• 心からのアプローチ:
不安や緊張を鎮めるための「感謝日記」
自己受容を育てるワーク
肌にオイルを塗るだけでは、根っこの乾きは潤いません。
**皮膚は身体の“出口”**です。そこに現れるものは、体内や心の状態を見せてくれているのです。
まとめ
見た目の不調には、意外なものが奥に隠されています。
• 肌の乾燥は、水分不足ではなく、過剰なストレス反応かもしれない。
• 吹き出物は、スキンケアではなく、無意識の不安を知らせるサインかもしれない。
体と心は、別々では動かない。
どちらも見ていくと、思っていたよりスムーズに整っていくことがある。
…そんなことを、日々現場で感じています。
ヨガや東洋医学、心理学を通して見えてきたこと、また少しずつ書いていけたらと思っています。
Asanga:アサンガの森
アカデミックな心理学とヨガやアーユルヴェーダの『生きる知恵』を毎日に取り入れやすい形にして講座やコラムでお伝えしています。
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