<ストレスは体に大きな打撃を与える>
過労やストレスにさらされると、
免疫システムが弱まり
ウィルスや細菌にも感染しやすくなります。
いくつかの研究で、
ストレスがコルチゾール(a)等のホルモンを増加させ、
免疫システムの働きを抑制し弱めることが立証されています(b)
(a)コルチゾール:副腎皮質から放出されるホルモンで、ストレスを受けた時に分泌が増えることから
「ストレスホルモン」とも呼ばれています。
(b)https://psycnet.apa.org/buy/2004-15935-004
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S147149060300173X
少しでもストレスを感じた時には、
深呼吸、ストレッチ、ヨガで体を解き放ち、
本や雑誌を読んだり、好きな趣味をしたり、
コメディーなどで思いっきり笑ったり
ゆっくりお風呂に入ったり、
自分に合った方法で
ストレスマネージメントをする時間を
積極的に作りましょう。
特にウィルスが流行しているとき、
ストレスを減らすことは
うがいや手洗いと同じくらい必須の
強力なウィルス対策になります。
特別なメソッドやサプリは何もいりません。
今のストレスを軽減するだけで、
免疫細胞と免疫システムの働きが高まる、
科学的にも立証されているこの方法、
試してみないわけにはいけませんね。
<ストレスってなんだろう?悪者なの?>
でも、実際にストレスとは
具体的にどんなものなのでしょう?
ストレスは個人の感受性によってずいぶん違ってくるので
ストレスの定義は難しい。
部屋が散らかっているだけでもストレスになることもあるし、
仕事のプロジェクトが失敗してもストレスにならないこともる、
さてほんの少しだけ、
ストレスについて学術的にみてみましょう。
この言葉はもともとは物理学用語で
「応力=歪みを元に戻そうとする力」
を意味します。
内側からではなく
外側からの力を指します。
生理学で初めてこの言葉を用いたのは
カナダの生理学者ハンス・セリエ博士(1907~1982)でした。
セリエ博士は、
1936年、ネーチャー誌に有名な論文を発表します。
これはストレス学説の最初の論文でしたが、
文中には「ストレス」という言葉は使わず、
「非特異的有害要因によって引き起こされる全身適応症候群」
という言葉でストレスを表現しました。
ちょっと難しい。
簡単に言うと
精神的緊張・心労・苦痛・寒冷・感染など
ごく普通に見られる刺激(ストレッサー)に対する
身体の反応のことです。
つまり、
精神的ストレス以外にも、
寒すぎたり、暑すぎたり、
今回の新型ウィルスも
ストレスの要因になる、
ということ。
さあ、あなたのストレスはなんでしょう?
私たちは日常でたくさんのストレスにさらされて
毎日を送っていますが、
何がストレスなのか、
刺激(ストレッサー)は何なのか?
上司?夫?妻?子育て?
家事?仕事?
寒さ?熱さ?
病気?
その根源を見つけ出すことが
ストレスマネージメントの第一歩です。
<早ければ早いほどいい、ストレスの度合いに気づく>
さて、次はストレスの度合いを測ってみましょう。
日常、どのくらい自分がストレスをためているかも
個人の感受性が大きく左右するため
実際図るのは難しい。
でもストレスがかかると体が反応します。
つまり、身体の症状から
そのストレス度を予想できます。
それをまとめたのが
セリエ博士。
彼は身体ストレスを
3段階に分けて考えました。
1.ちょっとパワー落ちたかな、程度の反応
2.病気が始まる
3.生命の危機
1はほとんど分からないことが多い。
最近、ちょっと調子悪いな~が続いている、、
程度の気づきです。
体温が低い、低血圧、胃腸のトラブル、
脱力感、肩こり、便秘、下痢、頭痛、など。
第1期(警告反応期)といって、
東洋医学で言う未病の段階です。
ここで気づければ治りも早い。
ここで気づかず、ストレス下のままでいると
今度はストレスに慣れてしまい(鈍感になり)
感じていることさえ分からなくなりますが、
ストレスは続いている。
そのうち免疫力は落ち、
体内で出血したり、腫瘍ができ始めたり、
発病が始まります。
こうやって第2期(抵抗期)が始まり
闘病生活が始まる。
それでもストレスが無くならないと
体はギブアップ。
生命が危なくなってきます。
これが第3期(疲憊(ひはい)期)の時期。
緊急を要します。
いかに早く
体の小さなサインを見つけるか。
日ごろの体調チェックは
免疫力を維持するのに必須の自己管理。
肩凝ってませんか?
冷えてませんか?
眼精疲労はありませんか?
大きな体からのお知らせです。
リラックスして早めに対処しましょう。
東洋医学やホメオパシーなどの代替医療、
ヨガや気功などを使って
早めの対処が未来を左右します。
<ストレスと免疫力>
さて、ストレスと聞くと
マイナスを連想してしまいますが、
ある程度のストレスは
私たちを元気づけ、
活動的になり、成長を促します。
ところが、これが行き過ぎると
興奮状態。
本人も周りもストレスフル。
逆にリラックスすると
心拍数は減り、胃腸の働きは活発に。
ひらめき、や創造性もこの時に「天から降ってくる」
また、これも行き過ぎると
血圧は低下し、
やる気もなくなり、
免疫力も落ちる。
私たちの体は
ちょうど車のアクセルとブレーキのように
この2つの自立神経(交感神経と副交感神経)が
体の部位や体内や体外の状況に応じて
お互いに強調することで
全体のバランスを保っているのです。
「ストレス は人生のスパイスである」
~ハンス・セリエ
適度なストレスはいい緊張感や能力を発揮する機会を高め、
困難を克服し人生に充実感とメリハリを与え、
人間の成長にもつながり、良い効果もあります。
これを乱すのが
過度なストレス。
大きく長く続くストレスは
心身ともに悪影響を及ぼします。
ストレスにさらされ続けると
不眠、便秘、自律神経失調症、、、、など
不眠は免疫力をさらに弱め、
便秘により、排毒の力が弱まり、
心は正確な判断ができなくなる。
人に判断を委ね、
不平不満が多くなる。
自律神経の乱れからくる症状が
心身をむしばんでいきます。
大切なのはオンとオフのバランス。
そして知っておくべきことは
それは意識でコントロールできる、
ということです。
人生のメリハリ
最高の免疫力を維持し
ウィルスから身を守るためには
意識的生活がかかせません。
<ストレスを減らすと体の中で何が起こる?>
免疫システムは自律神経の支配を受けています。
緊張感のある交感神経が優位な状態では
顆粒球の比率が上昇(4)
これらは細菌感染に対する
免疫を担う白血球の一種。
外敵から体を第一線で守る部隊です。
リラックスした副交感神経が優位な状態では
リンパ球の比率が上昇するようです。
リンパ球は白血球の一部で、B細胞(Bリンパ球)、
T細胞(Tリンパ球)、NK(ナチュラルキラー)細胞など
細菌やウイルスなどの病原体に
感染した細胞を攻撃したり、
抗体を作ったり、
排除したりする特別部隊。
ところが、ストレス状態が続き、
交感神経が優位であり続けると
リンパ球は抑制され、免疫力が低下。
ガンのリスクも上がると示唆されています。(5)
「テストの前になると必ず熱を出す」
「乗る気のしないミーティングの前に頭痛が起こる」
など経験したことがありませんか?
強いストレスが持続すると
私たちの脳はストレスに反応して
ステロイドホルモンや神経伝達物質が分泌され、
白血球中のリンパ球や細胞の働きを
低下させると言われています。
これらは私たちの免疫を司る
戦闘部隊。
では、いきすぎたストレスを緩和するには
どうしたらいいのでしょう?
<5つのストレス軽減法>
私がお勧めしている5つのストレス軽減法です。
ワークショップでも何回かお伝えしたものです。
1.十分な運動(20分以上の湯酸素運動、呼吸法やヨガ)
体が疲れると、余計なことを考えなくなります。
疲れていないから考えてしまう。
呼吸は唯一コントロールできる内臓です。
吐くと副交感神経が優位になり、
吸う息は交感神経を高めます。
そのコントロール法を身につけておけば、
体も心も自由にコントロールできる。
2.食べ方(腹6~8分目、ときどきプチ断食、旬のもの、自然栽培のもの、季節に合った料理の仕方)
私たちは食べたものでできています。
ストレスをかける食べ物
(ファーストフード、三白)をできるだけ減らし
ストレスをかけない食べ物
(葛、梅干し、発酵食品、海藻、季節の野菜など)を
頭ではなく全身で感じんがらよく噛んで食べる。
体にストレスがかかれば心にも悪影響です。
食べ物を選ぶ、そのためには、
現代は少し知識がいりますね。
現代人は「選ぶ」自由がある反面、
情報に踊らされてしまう危険もある。
3.瞑想、マインドフルネス、内観
瞑想法や内観は
強力な免疫システムを上げるツールです。
脳と心を浄化し、ストレスに強い心を作ります。
4.色の心理的効果を利用する
色は波長です。
その波長は私たちの皮膚から吸収され
脳にも影響をもたらします。
一般に赤は交感神経を刺激し、
血圧は上昇し、脈拍は上がり、呼吸数も増加、
汗がでてきて、神経が活発になります。
青色は副交感神経を優位にし
血圧は降下し、脈拍も呼吸数も安定し、
心はリラックスし、冷静さ集中力がでてくる。
カーテンの色やランチョンマットの色などで
色の効果をためしてみられるのもいいですね。
5.心理学のテクニックを使う
たくさんの方法がありますが
今日は1つだけ。
この図式は役立ちます 。
思考→感情→行動
つまり、マイナス感情を引き起こすのは
もとにある考え方、価値観に
原因があるというもの。
「出来事にどう反応するか」が、
ストレスへの耐性度(レジリエンス)
を決めます。
「~であるべき」
「~であってほしい」
白黒思考から
いろんな角度から物事を見れる柔軟な思考を
育んでいきましょう!
6.ユーモアと笑い
一日一回でも大笑いすれば、
50億個のナチュラルキラー細胞が元気になる、
という言葉を聞いたことがあります。
笑うことで末期がんを克服した話も
世界中にあります。
笑いは副作用のない最高の薬になります。
どんな時も笑いを忘れず!
最後に、
自分のストレス度をチェックできる
サイトがあったので
ご興味ある方はチェックしてみて下さい。
5分で分かる職場のストレス度テスト
では、ここまで読んでいただいてありがとうございました。
みなさんの健康を祈って。
<参考資料>
1. 順天堂保健看護研究
3. the american institute of stress
4. Benschop, R. J. et al., Brain Behav. Immun., 10, 77-91, 1996 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8811932
5.鈴木一博, 領域融合レビュー, 4, e011, 2015 DOI: 10.7875/leading.author.4.e011