洗濯物を日光に当てると
太陽光線に含まれる紫外線により
菌は殺菌され、増殖を抑えられます。
では、たんぱく質でできている
ウィルスも殺菌できるのでは?
どうやらこの素朴な疑問が
ウィルス対策に役立ちそうです。
<ウィルスと菌を天日干しで殺菌>
洗濯物を家の中で干していると
生臭くなった、という経験ありませんか?
これは菌が繁殖したためです。
まな板やおひつなど水回りで使う道具類も
時々太陽にさらすことでカビつかず、長持ちしますね。
太陽光線を遮断した環境のもとで
動物が飼育されると、
病原菌がはびこりやすくなります。
以前流行した
鳥インフルエンザや豚インフルエンザは
太陽光線を遮断した
人工照明だけの鶏舎や豚舎で
飼育されていたり、
戸外に出ることがない
家畜から発症した
と言われています。
紫外線はウィルスや菌類を殺菌する、
というこは
人間にも有害です。
長時間浴びると
皮膚の細胞膜を傷つけ
皮膚がんの原因になることが
医学的に言われています。
米国立がん研究所の記事を日本の国際医学情報センターが翻訳紹介
ただ、これに関しては
蓄積性が大きく、
ひと夏の紫外線で皮膚がんができるわけではないようです。
また、ガラス窓や曇りの日でも
皮膚の奥深くまで届くので
肌の老化(シミ、しわ、たるみ、硬化=光老化)
を引き起こすので、
やはりUVケアーは怠らない方がよさそうですね。
話をウィルスとUVに戻しましょう。
<紫外線の殺菌力>
このように生物にとっては害である紫外線ですが、
一方で殺菌力というメリットも持ち合わせています。
専門家によると
紫外線があたると
DNAやRNA(リボ核酸)が
化学変化をおこし
菌やウィルスの繁殖が抑えられるとのこと。
これを利用して
市販のミネラルウォーターは
紫外線で殺菌したものも多数売られています。
(紫外線殺菌と呼ばれています)
レストランでも殺菌するために
紫外線ランプが使用されています。
病院や研究機関でも
医療器具に紫外線を当てて殺菌。
科学が発達する以前より人間は
太陽の紫外線を利用して
天日干しをすることで
表面の細菌を死滅させたり、
ダニや細菌の増殖を抑えるすべを知っていました。
<1分で分かる紫外線>
では、この紫外線とはどんなものなのでしょう。
科学的に紫外線とそのパワーをみてみましょう。
簡単にいう と紫外線は光の一種で、
波長の長さによって
UVA(紫外線A波)
UVB(紫外線B波)
UVC(紫外線C波)
に分けられます。
UVCはオゾン層に吸収されるため、
地表には届きません。
よく、「肌の天敵」と
いわれている紫外線は
UVAとUVBの2つです。
地表に降り注ぐ紫外線の約9割を占めるのがUVA。
波長が長く、雲りであっても、
家の中・車の窓ガラスも透過して
肌にも到達するため
「生活紫外線」とも呼ばれます。
UVAを浴びると、
肌はゆっくりと黒くなり、
シワやたるみを引き起こします。
一方、波長が短いのがUVB。
短いものほど殺菌力が高く、
肌にダメージを与えます。
屋外での日焼けの主な原因となるため
「レジャー紫外線」とも呼ばれます。
初夏から夏にかけて
日焼けするのはUVBが原因です。
たくさんあびるとすぐに赤く炎症をおこし、
メラニンをつくらせ、シミやそばかすを
目立たせて皮膚を黒くするのがUVAです。
時間帯も関係があります。
朝、太陽が昇り始めると
それにつれてUVBの量が増え
正午に は最大となります。
<天日干しで殺菌!>
紫外線による殺菌のメカニズムには、
まだ解明されていない部分があるようですが、
一般的には、紫外線は
細菌のDNAがもつ情報を分解することで、
菌を減らす、または増殖を防ぐとされています。
紫外線はなんと
空気も殺菌できるとか!
では、どのくらい太陽にあてたらいいのでしょう?
菌の種類、湿度や温度によってちがうようですが、
紫外線の殺菌力は強力です。
綿布を用いて、天日干しの殺菌効果を
晴天の日に調べた実験です。
↓
黄色ブドウ球菌を
5㎝の綿布にしみ込ませ、
1つは
日光が良く当たる12時に
屋外に綿布を天日干し
(12時は紫外線が強い時間)
もう一つは
綿布を日陰に置き、
同様に菌数を検査。
開始直後の黄色ブドウ球菌数は約8100万でした。
結果、
10分間日光に当てた綿布では1万3千、
30分で360と減少。
1時間後には0になったようです※2
一方、日陰においた綿布の菌数は、
10分後に1600万、
30分で470万、
1時間が経過した時点でも
約270万のブドウ球菌が残存していました
日景と日向ではずいぶん
殺菌効果は違いますが、
日景でもしないよりはいいようですね。
天日干しの時間帯も大切です。
紫外線量が一番多いのは
太陽の高度が最も高くなる12時前後、
日が傾くとともに紫外線量も少なくなっていきます。
その他、湿度も大切。
細菌が繁殖するには水分が欠かせないので
湿度の低い日が最適です。
まとめると、
天日干しをする時間帯は
晴れた湿度の低い日の10時~14時
10~60分が紫外線による殺菌の効果が高まる、
ということ。
いい太陽が出た日は10分でも干す。
風を良く通し、乾燥させることで
天日干ししてウィルスをこまめに殺菌、
やってみる価値はありそうです。
みなさんの健康を祈って。
参考:
※2 比べる×調べる
https://www.fcg-r.co.jp/compare/enviro_140214.html
紫外線による殺菌作用
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jieij1980/76/7/76_7_361/_pdf