<中医学から見た冷え>
冷えは現代人だけでなく、
古くから多くの人々を悩ませてきた症状でした。
約2000年前に出版された中国医学の古典
『傷寒論(しょうかんろん)』や『金匱要略(きんきようりゃく)』には、
冷える体の部位別に長年研究された治療法が記されています。
冷えにもいろいろです。
手足の冷え=手足寒(しゅそくかん)
四肢末端の冷え=厥冷(けつれい)
腰の冷え=腰中冷(ようちゅうれい)
背中の悪寒=背悪寒(はいおかん)
これら冷えの共通症状として、
手足・足腰の冷え、肩こり、疲れやすさなどがあり
まずはタイプを見極め、
ライフスタイル(衣食住、運動、生活スタイルなど)を見直しながら体質改善をし、
漢方を使い治療を進めていきます。
ちなみに、中医学では、
冷え症の養生法として「運動栄養快楽」という
つまり、運動によって全身の血液をスムーズに流し、
筋肉の熱発生効率を高める方法も大切にします。
健康な人で毎日8000歩の運動量が必要といわれています。
健康な成人で10分1000歩だと言われていますから
約80分のウォーキング、
となると、みなさん、いかがでしょうか?
ちょっとボリュームある?
<アーユルヴェーダからみた冷え>
「普通の人が寒さを感じない環境で、
手足や腰、内臓、または全身が冷えてつらい状態」
これを冷え症といいます。
自覚症状があるかないかが
大切なポイントとなります。
(これは中医学でも同じ)
冷えが慢性的に続くと
代謝も落ち、排毒できないので
様々なトラブルが起こってきます。
むくみ、肩こり、貧血、生理トラブル、低血圧をはじめ
糖尿病、腎炎、心臓病、甲状腺機能低下症、ガンなどの病気の素地になります。
大事に至らないための早めの対策が必要です。
アーユルヴェーダでは、自覚された冷えは
「未病」として立派な治療対象になります。
アーユルヴェーダ的な観点から見ると
冷えは、3つの生命エネルギー(トリドーシャ)の中の
「ヴァータ(VATA)」が
過剰になった状態と考えます。
ヴァータは、「風」と「空」からできた性質を持ち、
軽く、動きも早いのが特徴です。
(身体的には、循環器系、血管系、脳、
感覚の刺激や神経の伝達、呼吸をつかさどる)
乾燥しやすく、不安定な性質があり
老化現象や病気の多くは
「ヴァータの乱れ」から起こります。
体質に合わない食事、
冷たい飲み物で身体を冷やしている、
運動不足、
特に、寒く乾燥した冬にヴァータは増えやすく
冷えやすい体質(冷え性)のもとを作ります。
ヴァータをうまくコントロールできると
腰痛や便秘、不眠、冷えから解放され、
体が軽く、機敏で活発になってきます。
<ヴァータが増えているかどうかチェックしてみよう>
冷えにくい体を作るためには
ヴァータが乱れていないか、
増大していないかどうかを
自分でチェックする必要があります。
どんな症状から分かるのでしょう?
自己チェックしてみましょう。
□ 無性に甘いものが食べたくなる
□ スケジュールが詰まりすぎ
□ すぐイライラしてしまう
□ 体に痛みがある(肩こり、腰痛、生理痛)
□ ストレスで身体と脳が緊張している
□ 不眠、寝不足が続いている
□ 皮膚が乾燥する
□ 髪のフケが気になる
□ 手足が冷える
□ 忘れっぽい
□ 早口すぎる
□ 脚や頭をよくぶつける
□ 便秘、体の痛み(腰痛、肩こり、頭痛、生理痛)がある
<ヴァータを整え冷えをとる方法>
以下の3つはヴァータの乱れを整える効果的な方法です。
1.体を温めるよく調理された食事
2.規則正しい生活
(起床時間、食事時間、運動、就寝時間)
3.ゆっくりはっきりとしたヨガと呼吸法
(仰向けポーズ、リラックスポーズ、筋力ポーズ)
1~3を実行するにあたって何よりも重要で
どんな薬よりも効き目があるのは
「リラックス」。
仕事、おいしい食べ物、美容、ファッション、
未来の心配、過去の後悔、etc..
次から次へと心はさまよい、
落ち着きかない(落ち着きたくない)
日常に慣れていませんか?
リラックスできているようで
実は出来ていない私たち。
どこかに力が入ったまま
眠りについていることが多い。
夜はスマホやPCを早めに遠ざけて
半身浴をし、夜空でも見てみましょう。
一日を振り返り日記を書くのも効果的です。
電磁波は脳を覚醒し、体を冷やし
体への悪影響が指摘されています。
リラックスを促進するヨガポーズ、
呼吸法、瞑想は欠かせないメニュー。
副交感神経を優位にし、
頭も心も空っぽに!
<ヴァータを整える理想の生活と食事>
より具体的にヴァータを整える理想的な生活を時間順に見てみましょう。
1.朝:
日の出前に起床、口のケアーをしてから、
まず温かい白湯を一杯飲む、
8時までに温かい朝食を少量
(全粒穀物と野菜スープ、みそ汁をゆっくり食べる)
2.昼:
水分と油分を適度に含む温かい穀物を含む食事
(パサパサ、パリパリしたもの、辛い物、乾燥物、焼しめたものは食べない)
ヨガ、ウォーキング
3.夜:
昼食より軽め、8時までにはすませる。
9時以降は食べない。根菜を使った料理。
夕食後、時間をおいてしっかり入浴。夜ヨガ、瞑想。
ヴァータはごま油を使ったオイルマッサージも有効です。
生姜の足湯も効果的。
毎朝一杯の白湯を飲むのもおすすめです。
白湯の温度は70℃前後。
熱めをすするようにして飲みましょう。
冷え改善に効果的です。
消化を高め、体をあたためる
アーユルヴェーダ式白湯の作り方
この冬のヨガのテーマは「冷えと老化」
アーユルヴェーダや東洋医学から
食事と生活の知恵
自然なナチュラルエイジングできる知恵
もお伝えしてます。
References
1.日本医史学雑誌 第 58 巻第 1 号(2012) 15–28
http://jsmh.umin.jp/journal/58-1/58-1_15.pdf
2.女子厥冷に対する漢方治療効果の検討
https://ci.nii.ac.jp/naid/130003832885/
3.Dr.Robert E. Svoboda. (2003) Prakriti-Your Ayurvedic Constitutioin. Lotus Press.