アーユルヴェーダで冷えを治す:冷え改善 vol.5

<中医学から見た冷え>

冷えは現代人だけでなく、
古くから多くの人々を悩ませてきた症状でした。

約2000年前に出版された中国医学の古典
『傷寒論(しょうかんろん)』や『金匱要略(きんきようりゃく)』には、
冷える体の部位別に長年研究された治療法が記されています。

冷えにもいろいろです。

手足の冷え=手足寒(しゅそくかん)
四肢末端の冷え=厥冷(けつれい)
腰の冷え=腰中冷(ようちゅうれい)
背中の悪寒=背悪寒(はいおかん)

これら冷えの共通症状として、
手足・足腰の冷え、肩こり、疲れやすさなどがあり

まずはタイプを見極め、
ライフスタイル(衣食住、運動、生活スタイルなど)を見直しながら体質改善をし、
漢方を使い治療を進めていきます。

ちなみに、中医学では、
冷え症の養生法として「運動栄養快楽」という
つまり、運動によって全身の血液をスムーズに流し、
筋肉の熱発生効率を高める方法も大切にします。
健康な人で毎日8000歩の運動量が必要といわれています。

健康な成人で10分1000歩だと言われていますから
約80分のウォーキング、
となると、みなさん、いかがでしょうか?
ちょっとボリュームある?

<アーユルヴェーダからみた冷え>

「普通の人が寒さを感じない環境で、
手足や腰、内臓、または全身が冷えてつらい状態」
これを冷え症といいます。

自覚症状があるかないかが
大切なポイントとなります。
(これは中医学でも同じ)

冷えが慢性的に続くと
代謝も落ち、排毒できないので
様々なトラブルが起こってきます。

むくみ、肩こり、貧血、生理トラブル、低血圧をはじめ
糖尿病、腎炎、心臓病、甲状腺機能低下症、ガンなどの病気の素地になります。

大事に至らないための早めの対策が必要です。

アーユルヴェーダでは、自覚された冷えは
「未病」として立派な治療対象になります。

アーユルヴェーダ的な観点から見ると
冷えは、3つの生命エネルギー(トリドーシャ)の中の
「ヴァータ(VATA)」が
過剰になった状態と考えます。


ヴァータは、「風」と「空」からできた性質を持ち、
軽く、動きも早いのが特徴です。

(身体的には、循環器系、血管系、脳、
感覚の刺激や神経の伝達、呼吸をつかさどる)

乾燥しやすく、不安定な性質があり
老化現象や病気の多くは
「ヴァータの乱れ」から起こります。

体質に合わない食事、
冷たい飲み物で身体を冷やしている、
運動不足、

特に、寒く乾燥した冬にヴァータは増えやすく
冷えやすい体質(冷え性)のもとを作ります。

ヴァータをうまくコントロールできると
腰痛や便秘、不眠、冷えから解放され、
体が軽く、機敏で活発になってきます。
 

<ヴァータが増えているかどうかチェックしてみよう>

冷えにくい体を作るためには
ヴァータが乱れていないか、
増大していないかどうかを
自分でチェックする必要があります。

どんな症状から分かるのでしょう?
自己チェックしてみましょう。

□ 無性に甘いものが食べたくなる
□ スケジュールが詰まりすぎ
□ すぐイライラしてしまう
□ 体に痛みがある(肩こり、腰痛、生理痛)
□ ストレスで身体と脳が緊張している
□ 不眠、寝不足が続いている
□ 皮膚が乾燥する
□ 髪のフケが気になる
□ 手足が冷える
□ 忘れっぽい
□ 早口すぎる
□ 脚や頭をよくぶつける
□ 便秘、体の痛み(腰痛、肩こり、頭痛、生理痛)がある

<ヴァータを整え冷えをとる方法>

以下の3つはヴァータの乱れを整える効果的な方法です。

1.体を温めるよく調理された食事

2.規則正しい生活
 (起床時間、食事時間、運動、就寝時間)

3.ゆっくりはっきりとしたヨガと呼吸法
 (仰向けポーズ、リラックスポーズ、筋力ポーズ)

1~3を実行するにあたって何よりも重要で
どんな薬よりも効き目があるのは
「リラックス」。

仕事、おいしい食べ物、美容、ファッション、
未来の心配、過去の後悔、etc..

次から次へと心はさまよい、
落ち着きかない(落ち着きたくない)
日常に慣れていませんか?

リラックスできているようで
実は出来ていない私たち。

どこかに力が入ったまま
眠りについていることが多い。

夜はスマホやPCを早めに遠ざけて
半身浴をし、夜空でも見てみましょう。
一日を振り返り日記を書くのも効果的です。

電磁波は脳を覚醒し、体を冷やし
体への悪影響が指摘されています。

リラックスを促進するヨガポーズ、
呼吸法、瞑想は欠かせないメニュー。

副交感神経を優位にし、
頭も心も空っぽに!

<ヴァータを整える理想の生活と食事>

より具体的にヴァータを整える理想的な生活を時間順に見てみましょう。

1.朝:
  日の出前に起床、口のケアーをしてから、
  まず温かい白湯を一杯飲む、
  8時までに温かい朝食を少量
 (全粒穀物と野菜スープ、みそ汁をゆっくり食べる)

2.昼:
  水分と油分を適度に含む温かい穀物を含む食事
  (パサパサ、パリパリしたもの、辛い物、乾燥物、焼しめたものは食べない)
  ヨガ、ウォーキング
3.夜:
  昼食より軽め、8時までにはすませる。
  9時以降は食べない。根菜を使った料理。
  夕食後、時間をおいてしっかり入浴。夜ヨガ、瞑想。

ヴァータはごま油を使ったオイルマッサージも有効です。
生姜の足湯も効果的。

毎朝一杯の白湯を飲むのもおすすめです。
白湯の温度は70℃前後。
熱めをすするようにして飲みましょう。

冷え改善に効果的です。

消化を高め、体をあたためる
アーユルヴェーダ式白湯の作り方

この冬のヨガのテーマは「冷えと老化」
アーユルヴェーダや東洋医学から
食事と生活の知恵
自然なナチュラルエイジングできる知恵
もお伝えしてます。

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References

1.日本医史学雑誌 第 58 巻第 1 号(2012) 15–28
http://jsmh.umin.jp/journal/58-1/58-1_15.pdf

2.女子厥冷に対する漢方治療効果の検討
https://ci.nii.ac.jp/naid/130003832885/

3.Dr.Robert E. Svoboda. (2003) Prakriti-Your Ayurvedic Constitutioin. Lotus Press.

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