脳と心に刻まれた「愛の形」と「過去の記憶」:脳と心は過去の何を覚えているか?

今の自分は過去の記憶の集合体?

今日は記憶についてのお話です。私たちの「現在の生き方」は「過去の記憶」を土台にできています。今まで経験してきたものを、「どのように記憶しているか」が今の自分の価値観、人格やありかた、そして人生そのものを形作っている、といっても過言ではありません。

例えば、

・小学校の時、初めて乗った飛行機が揺れて非常に怖かく、今も飛行機にはあまり乗りたくない

・小学校のころひどくいじめられたことがあり、いじめっ子を見ると腹が立つ

・両親の不幸で、あしながおじさんに学費を援助してもらいながら学校に通ったので、大人になった今、今度は自分があしながおじさんとして子どもたちをサポートしている

このような経験が「感情」とともに記憶されていたとします。いい感情を起こした経験は「よい記憶」として保存され、「不快だと記憶」したものは現在も遠ざけようとします。普段は意識されていませんが、日常生活のところどころ何かを決定するときにこのような記憶と紐づけされ判断・決定が下されません。

つまり、過去のこういった体験の記憶から、今も飛行機にはのらないようにしている、いじめっこをみると説教したくなる、教育記事には必ず目を通す、といった現在の行動が選択され、そこから「感情」が生まれてきます。

また、2回目の飛行機でまたひどい揺れを経験し、その恐怖体験より「もう2度とのらない!」と決断してしまうかもしれません。高校でもなたいじめられ、つらい経験をしてしまったら、いじめる人対する嫌悪感や憎しみはさらに強まるかもしれません。このように、記憶は強化されることもあります。

逆に、飛行機は怖かったけど海外に行きたいから乗ってみようかな、とか、いじめる子にも理由がありそうだ聞いてみようかな、など、新たな気づきを起こすきっかけもここから生まれます。このように「過去の記憶」は「今現在の判断・行為・行動」へとつながり、そこから「感情」が喚起され、それらが私たちの毎日を彩り、人生を作っています。

記憶にも種類がある


記憶は私たちの「内側の意識」と密接な関わりがあります。ポジティブな気分のときはポジティブな出来事が記憶され、落ち込んでいる時はすべてが憂鬱なものとして記憶されやすくなります。

さて、心理学者は、記憶をいくつかに分類しています。

一つ目は、暗証番号や電話番号など、次の日には忘れてしまうような「短い記憶(短期記憶)」。認知症初期では、今日食べた朝ごはんが思い出せなくなってきますが、昔の記憶(長期記憶)は鮮明に思い出すことができます。これは短期記憶が障害されたことによるものです。

2つ目として、これまでの人生で蓄積してきた「知識の記憶」があります。例えば、パリはフランスの首都で、桜はバラ科の植物、「神の戸」とかいて「神戸(こうべ)」と読む、といった記憶です。いつ覚えたかは覚えてはいなく、また自分が体験したわけではないいわゆる「知識」です。今の日本の受験は(も)この記憶を試されます。私たちはパリがフランスの首都になることを体験したわけではないですが、私たちはの脳は、経験していなくても自分とは引き離して単なる知識としてインプットすることができます。

3つ目として、現在の行動に影響を与える「過去の体験がつまった記憶」です。「パブロフの犬」の実験が分かりやすい例です。犬にベルを鳴らさせて餌を与えると、ベルを鳴らしただけで犬が唾液を分泌するようになった(ロシアのパブロフ-1849〜1936-が実験で発見した生理現象)というもの。海牛やミミズのような単純な生物もこの種の記憶を持っているといいます。

これに対し、1回だけの個人的な記憶(特定の場所や時間で経験した特別な自分だけの出来事)を心理学者は「エピソード記憶」と呼んでいます。この中でも、特にその人にとって重要な意味を持ち、自分のアイデンティティを形作るような重要な記憶を「自叙伝記憶」といいます。自分はこんな風に生きてきた、という「人生物語」を作る母体になっています。

・12歳の時初めて旅した海外で英語が通じた時のエキサイティングな思い出、
・小学校5年生の時のいじめられた時の疎外感と底知れない孤独感、
・知らない街で親とはぐれて、絶望的になったあの時の気持ち

など、など。これらの記憶は、私的な物語を作る一場面になっています。このように、私たちの「今」は記憶によって彩られ、またこの記憶が未来を作っています。「気づき」という「方向転換期」がない限り、過去の記憶は未来へとそのまま転写されます。

出来事は違っても、私たちは過去にインプットされたパターンを繰り返しているんですね。「気づき」によって、過去の体験、感情、思考は修正され、未来を変えることができます。

その記憶は本当か?


小さければ小さいほど、記憶はあいまいです。事実と大きくかけ離れて記憶していることが多い。それもそのはず、子どもは体自体が大人よりずっと小さく、そのため世界が巨大に見えます。かわいい子犬に少し吠えられたとしても、子どもにとっては野犬にかみ殺されそうになった、くらいのイメージで体験しています。

されに、身体的な違いだけでなく、体験している本人の「自我」がまだまだ小さく、しっかりと出来上がっていないため、物事が断片的に見え、一面をみて全体を判断せざるを得ないという心の成長の条件も加わり、大人とは全く違った体験として経験し記憶していきます。おばけやしきが怖すぎて、夜もトイレにいけなくなったりするのも、彼らのキャパを超えてしまう経験だったと言えます。

子どもの記憶について話す時、いつも十和田湖美術館に展示されているロン・ミュエクの巨大な彫刻作品「スタンディングウーマン」という作品を思い出します。展示室に入った瞬間、高さ4m近くあるおばさん像が私たちを見下ろす作品。髪の毛一本一本までリアルで、かなりの迫力です。

そのおばさんの表情やしぐさはあまりにリアルで見る角度によって表情も変わります。「子ども」疑似体験は価値ありました。やはり肌で体験することは大きく、エピソード記憶としてしっかり心の奥に記憶されました。

子どもにとっては、大人は巨人です。しかも絶大なパワーがあります。幼稚園で「忘れ物」をしたときの怒られた記憶が「大きな恐怖」として記憶に残っており、大人になっても出かけるとき忘れ物がないか十分にチェックしないと家を出れない方がおられるかもしれません。幼いとき自分が言ったジョークがどこいっても大人たちに大うけしたのがうれしく、今でもジョークな毎日をすごしているが、実は迷惑がられていることもあるかもしれません。。。。

私たちの過去の記憶は、体も自我も小さかった子ども時代に子どもの時にインプットしたまま今も使われているものが多いことにお気づきになったかもしれません。時々、過去の記憶の大掃除、必要ですね。それにはまず「気づき」という掃除道具が必要です。ここは心理学が大変役に立つ分野です。一緒に学んでいきましょう。

愛の記憶


「愛の形」は千差万別。文化、時代、性差、年齢によっても表現の方法に違いがあり、そして、関係性からみても、親子の愛、夫婦の愛、友愛、動物への愛、、、愛の種類は数えきれないほどありますね。そして何より「愛と何か?」、何千年の人間の哲学の歴史で考えられ、数百年ですが心理学者は研究を重ねています。

匂いも形もないけれど、あるのは分かる。無形のものをどうやって査定するのか?たくさんの方法を試行錯誤し、愛の「ある一定の法則」が見つかり始めました。そして、その法則は、私たちの今現在の「愛」の形を形作る基本になっている、といいます。

その基礎は幼少期5,6歳までに周りの大人との関係で学んだパターン、過去の記憶をベースに作り上げられてきた、と言われます。もちろん幼少期が不幸であってもその後のすばらしい出会いによりそのパターンを変えることは可能だ、とも心理学者たちは言います(ルーマニアの孤児の研究)。

みなさんはどんな愛のパターンをもっているのでしょう?過去にどんな愛の体験をし、それを記憶として定着させてきたのでしょう?過去に学んだ愛の法則は今現在でも使えるものえしょうか?アップデートしたほうがよさそうな愛の形もあるかもしれません。

自身の「日常の愛」を探してみてください、親子の愛、夫婦の愛、友愛、ペットへの愛、、、、自分独自の「愛のパターン」を見つめる時間を作ってみてください。たくさんの心理学者が言うように、愛は人生の土台になっています。自分のパターンに気づくだけでも、人生にいい変化が訪れます。

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