ベジタリアン朝食だけで、たんぱく質は約25グラム

ベジタリアン、特に、肉魚類、乳製品を摂取しない
ヴィーガン生活をしていると
たんぱく質が不足するのではないか、
という疑問を持たれる方が多くいらっしゃいます。
 
実際はどうなのでしょうか?
今日は栄養科学的な視点から
ベジタリアンの栄養状態をみてみましょう。
 
 

<3分で分かる!「たんぱく質って?」>

 
普段の生活でもよく耳にする、たんぱく質。
遠い昔、学校でも学びましたね。
 
でも、
スポーツを本格的にされている方、
病気がある方や
医療・研究関係の方、
栄養士関係の方、
といった職種の方以外は
たんぱく質がいったい何なのか、
その役割や大切さを感じることはあまりありません。
 
まずは、少したんぱく質について、
思い出してみましょう。
簡単にガイドしますね。
 
私たちの体はたんぱく質からできています。
それくらい知ってるって?
では、次に行きましょう。
 
たんぱく質は
炭水化物、脂質、ミネラル、ビタミンとならぶ5大栄養素の一つで
私たちの生命活動を支える大切なエネルギー源でもあります。
まだまだ行けそうですね。
 
もう少したんぱく質を小さい分子レベルの視点で見てみると
たんぱく質は、約20種類のアミノ酸が
数十〜数千個も集まって構成されています。
 
食べ物に含まれているたんぱく質は
体内で一度アミノ酸に分解され
その後、
必要とされるたんぱく質に再合成されます。
 
そして筋肉や臓器、血液、
その他、酵素やホルモンなどになり、
それぞれの役割を果たします。
 
身体に必要な「熱」の素にもなっています。
体温をキープしたり、体力をつけたり、
成長を促進させる役割もあります。
 
このようにたんぱく質は
私たちの「命を支える」重要な栄養素です。
 
でも、
体内ですべて作ることはできません。
「必須アミノ酸」と呼ばれる9種類だけは
体内では作り出せないために、
食品からとる必要があります。
 
(必須アミノ酸9種:
イソロイシン、ロイシン、メチオニン、
トリプトファン、リジン、バリン、
ヒスチジ、トレオニン、フェニルアラニン)
 
普段は何気なく食べている食事ですが、
たんぱく質は想像以上に
私たちの健康維持・促進に深く関わっています。
定期的に食事の内容を見直してみる必要はありそうです。
 
 

<ベジタリアンはどこからたんぱく質を得てるの?>

 
では、
ベジタリアンの食事で、
はたしてたんぱく質は足りているのでしょうか?
 
 
ベジタリアンの食生活では、
たんぱく質は
主に、豆・豆類、穀物、ナッツ類から取ります。
 
それぞれの食品に含まれている
たんぱく質含有量を
植物性のものと
動物性のものを
比べながら栄養学的に見てみましょう。
 
(100gあたりの含有量)
 
<植物性たんぱく質>
豆類(豆類は乾燥)
・大豆33.8g
・小豆20.3g
・レンズ豆23.2g
・ひよこ豆20.0g
・凍り豆腐49.4g
・納豆16.5g
・木綿豆腐6.6g
・豆乳3.6g
 
穀物
・玄米6.8g
・白米6.1g
・小麦、強力粉、全粒粉12.8g
・麩、車麩30.2g
・乾燥そば9.8g
・とうもろこし8.3g
・オートミール13.7g
・きび、あわ、10.5g
・麦類12.8g
 
種類・実類
・ごま19.8g
・かぼちゃの種26.5g
・アーモンド29.9g
・ピーナッツバター25.4g
 
海藻類
・あらめ12.4g
・わかめ18.0g
・豆味噌17.2g
・麦味噌9.7g
 
<動物性たんぱく質>
魚類
・紅鮭(生)22.5g
・さわら(生)20.1g
・ぶり(生)21.4g
・ホタテ貝(生)13.5g
 
肉類
・和牛 肩ロース(生)13.8g
・牛 ひきにく(生)19.0g
・ぶた かたロース(生)17.7g
・鶏もも皮付き(生)17.3g
 
乳製品
・牛乳3.3g
・ヨーグルト3.6g
・チーズ28.9g
 
(日本食品標準成分表、 2015年版2017年改正)
 
豆類のたんぱく質含有量は
畑のお肉、と言われるように、
肉類とほぼ同じですね。
その他、
穀物や海藻、種や実類からも
たんぱく質をとることができます。
栄養学的にはマクロビの食生活でも大丈夫ですね。 
 
では、
もう少し具体的に見てみましょう。
 

<本当に足りてるの?もうちょっと見てみようたんぱく質の量>

 
実際、
一日にどのくらいたんぱく質をとればいいのでしょうか?
普段あまり意識しないで食事をしていますが、
細胞を元気づけるためのたんぱく質量を
ちゃんと摂取できているのでしょうか?
 
厚生労働省によるたんぱく質の平均必要量
約65gとされています。
活動量、体重、性別、季節、住んでいる場所などによって、
ずいぶんと違いはあります。
だいたい、
自分の体重を一桁小さくしたものと考えます。
例えば50㎏だと50g。
 
朝食に、
納豆(40g)、豆腐(80g)とわかめ(5g)の味噌汁、
玄米ご飯(200g)、ゴマたっぷりのお浸しを食べたとします。
 
一見、
たんぱく質の量は少なそうですが、
朝食だけでたんぱく質はだいたい20~25gなので、
一日の1/3はとれていることになります。
 
微量ですが、
味噌やゴマにも
質の高いたんぱく質が含まれています。
  

<たんぱく質のハイブリッド車ー植物性のたんぱく質>

 ただ
ここで大切なことがあります。
 
たんぱく質をしっかり食べていたとしても、
すべてが吸収されているわけではない
ということです。
 
大豆や麩4g摂取した場合には
1gのたんぱく質を吸収することができます。
 
一方、
動物性たんぱく質を見てみると、
卵6gで1g、
牛肉10gで1g、
鮭11gで1gのたんぱく質を吸収することができます。(※)
 
こうしてみてみると
植物性たんぱく質の吸収量はとてもよく、
消化吸収にロスが少ないことが分かります。
 
また、
脂質も少ないのでコレステロールを気にすることなく、
食べることができる食材です。
腸の状態によっても吸収率は大きく変わりますが、
植物性たんぱく質は
ハイブリッド車のように燃費がいいようです。
 
以上、
今日は栄養学的な観点から
ベジタリアンにたんぱく質は足りているのかを見てみました。
 
質の良いたんぱく質を、どう効率よく吸収するか、
たんぱく質は食べる量よりも質が大切ということ、
そして
腸の状態を良くしておくことで吸収率を高めること。
 
自身の健康促進のため、
地球環境のため、
菜食をめざすかた、
ちょっと興味ある方、是非参考までに!
 
※あなたと健康「栄養教室講座」参考テキスト 東城百合子監修 参考

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