陰陽五行的に言うと、
春は排出の時期。
体の解毒を担う肝臓の働きが活発になり
疲れやすくなる時期です。
そんな時に肝臓機能を助けてくれるのが酸味。
今日は酸味の代表、
日本の発酵食品、お酢を東洋医学的な観点から
その選び方や使い方をお話します。
<がんばる肝臓>
東洋医学の基礎にある陰陽五行論では
春は体の大掃除の時期。
冬に貯めた皮下脂肪や老廃物、
そして長年かけて体に蓄積した古塩※を
肝臓と胆のうが一生懸命頑張り
疲れやすい状態になっています。
ところが処理が追い付かなかった時、
それでも何とか毒出しをしよいうと
いろんな形で外へ排出し始めます。
眼精疲労、涙目、めやに、鼻水、くしゃみ、
日中の眠気、肩こり、五十肩、筋肉疲労、爪のトラブル,etc…
もう少し悪化すると、花粉症、アレルギー性鼻炎など。
不快な症状が続きます。
そんな肝臓の働きを助けてくれるのは
「酸味」と「苦み」です。
この時期になると
ほんのり苦い春の野草、かんきつ類が
毎週のように種類を変えて出回ります。
私達が必要なものを
ちゃんと自然は手当を用意してくれています。
<春の料理法>
料理の方も春は
ことこと煮込んで体を温める冬料理から
甘酸っぱいディップと共に温野菜、
ゼリー、ちらしずし、など
みずみずしく軽い料理が食べたくなります。
切り方も
小さく切って、
または手でちぎったりしながら
冬より短めに
味も薄く、
油は少な目に
軽く軽く料理していきます。
そして、酢の使い方をマスターすれば
料理の幅が広がります。
<日本の発酵食品の代表、酢のミニ知識>
酢には大きく分けて
「醸造酢」と「合成酢」
があります。
この2つは全く違った工程で作られています。
醸造酢は穀物や果実に酢酸菌を混ぜたり、
天然の発酵菌を利用して酢酸発行させ、ろ過して作られたもの。
熟成期間は数か月から長いもので数年。
原料は玄米、白米、あわ、麦、豆類、果物で、
酢酸菌の種類や熟成期間によっても風味が全く異なります。
合成酢は科学的な酸味西部と調味料を混ぜて作ったスです。
全く発酵と熟成過程を踏まない人工調味料です。
今一度、台所にある酢がどっちのタイプか
確かめてみましょう。
合成酢は安価で手に入れやすいというメリットはありますが、
体には発酵した醸造酢をお勧めします。
<酢の効力と使用上の注意>
陰陽五行的に言うと
酢は基本的に体を緩め、冷やします。
暑い夏には疲労を回復してくれます。
動物性食品の過剰を中和し、
肝機能を向上させてくれます。
ただ、細胞を緩めて冷やす作用があるため、
冷える季節には体調を見ながら使う必要があります。
冷え症の方、やる気がでない・無気力の方、
運動量が少ない方は控えめにしましょう。
そして、酢は直接とると酸が胃を傷つけます。
塩と混ぜたり、過熱してから使うと
胃にも優しく、口当たりもマイルドマイルドになります。
試してみてください。
<日常で使うお酢にはどれがいい?>
では、実際、たくさんある醸造酢のなかでも
何を使えばいいでしょう?
料理法、季節、体調によっても変わってきますが、
お薦めの酢は梅酢。
あの、梅干しを作った時に出てくる、
赤と白の液体です。
梅酢は適度な塩分を含んでいるため胃を傷めず、
また体を冷やしすぎず、
「いい塩梅」という言葉ができるくらい、
バランスが取れた酢です。
梅干しと同様の効果があり
殺菌作用が非常に強いのが特徴です。
梅酢から抽出したポリフェノールが
少量でインフルエンザの増殖を抑えたという報告もあるくらい!
また梅酢に含まれるクエン酸は
カルシウム吸収を助けるため、
日常的にとることで骨粗しょう症の予防にもなります。
クエン酸は疲労回復や熱中症予防にもなるため、
夏は水筒にいれて梅酢ドリンクを持ち歩いています。
<玄米酢、白米酢>
次にお勧めなのは玄米酢。
アミノ酸が多く、血流改善効果があります。
玄米酢は独特な味わいがあり、
好みが分かれますが、梅酢に次いでお勧めの酢です。
一般普及している白米酢は軽い風味と使いやすさが魅力ですね。
でも摂りすぎは体を冷やすので注意が必要です。時々ハレの日に。
<バルサミコ酢>
バルサミコ酢も時々使うと食卓に広がりが生まれます。
ブドウを原料にしたイタリアの伝統的な醸造酢です。
最低12年、長いもので25年以上熟成もさせているのが特徴です。
製法が細かく法律で定められていて、
それをクリアーしたものだけがデノミナツィオーネ・ディ・オリージネ・プロテッタ(DOP)
というバルサミコ酢としての認定を受けることができます。
長いもので50年、100年ものもあるとのこと!
バルサミコ酢はとても高価なため、
ブドウ酢に着色料、香料を添加して
「バルサミコ酢」として売られているものがあるので注意。
バルサミコ酢は
夏や動物性食品が多い人に
お勧めの陰性の強い酢です。
火を通して半分にまで煮詰めると甘みが増し、
消化吸収も良く、酢が苦手な子どもたも抵抗なく食することができます。
でも、やはり胃腸が弱い人、陰性症状がある人は控えたほうがいいです。
<梅酢を使ったレシピ>
私が日常良く使う簡単なレシピをご紹介します。
まずは
万能梅酢ドレッシング
簡単便利で美味しい梅酢の春夏用のドレッシングです。
温野菜から生サラダまでさわやかに食卓を彩り
食欲を刺激します。
材料:オリーブオイル(大1)、
リンゴジュース(小1)、
梅酢(数滴)、
しょうゆ(小2)、
塩(一つまみ)、
好みでコショウ
梅酢ディップ
温野菜のディップとして、青菜を和えたり、
煮切りみりんをいれて田楽味噌としても使えます。
甘酒を入れることもあります。
練りごま(大1)、
白味噌(大1)、
梅酢(数滴)
玄米プディング
アツアツでも冷やしても美味しい。
食欲満点の子どもたちには重宝する
ボリュームあるおやつです。
炊いた玄米(100g)、
豆乳(3 cup)、
米あめかメープルシロップ、あれば甘酒(好きな甘さに)、
アーモンドプードル(なければ砕いたアーモンド)、
塩(一つまみ)
梅酢(数滴)、
本葛(大1)➝同量の水で溶いておく
1.本葛を同量の水で溶いておく
2.梅酢、本葛以外をすべて鍋に入れて、
焦げないよう絶えずかき混ぜながら5,6分クツクツ中火で煮る。
3.1の本葛を流し入れて、さらに3,4分ほど練っていく。
4.器にもって、祖熱が取れたら冷蔵庫で冷やし固める
酢の使い方次第で料理の幅はぐっと広がります。
ドレッシングや酢飯だけでなく、
プリンやスープ、カレーなどにもほんの数滴入れるだけで、
コクとうま味がアップします。
本の数滴の酢が体の疲れを取り、
春夏の軽い体へと変化させてくれます。
ちなみに、梅酢ではありませんが
リンゴ酢、米酢などの塩分を含まない酢は
リンスとしても大活躍してくれます。
詳しくは➝リンゴ酢リンス
※ 古塩とは、主に動物性たんぱく質の中にあるナトリウムが何年もかけて体に蓄積したもの。調味料の塩は血液に溶け、汗や排尿・排便という形で体外に排出されますが、古塩は血液には溶けずに全身に運ばれ、血管壁や内臓組織に沈着すると考えられています。そして血管や内臓を硬化させ、血管系・循環器系の病気へと発展します。