私は、長い間、無類のコーヒー好きでした。
美味しいと聞くとすぐに足を運び、
それぞれの店の豆を、
苦味、酸味、渋み、コク、口に含んだ時の質感、後味の印象など
自己評価表を作成したり。
しかも一時住んでいたアメリカは水よりもコーヒーの方が安い!
毎食、コーヒーは水代わり。
特に、朝の焼き立てパンと
ドリップしたてコーヒーは至福の時間、
一日のエネルギーのもとでした。
それが上の子を妊娠したと同時に、
なんと体がコーヒーを受け付けなくなってしまった。。。
(ついでに穀物や肉魚類も!)
頭は欲しくても(実際、匂いはOK。)
飲むと胸のあたりがモヤモヤと気持ちが悪くなる。
(つまり体は欲していない。)
おなかの子どもが「いらない!」
と言っているような感じでした。
ショックだったのはコーヒーだけでなく、紅茶も緑茶も、
つまりカフェインが入っている飲料は一切飲めなくなったこと。
生活からコーヒーが無くなる日が来るとは!
あれから15年、今もまだコーヒーなし生活は続いています。
今は飲めるけど、体が欲しくなくなってしまいました。
あの時、いったい私の体はどうなったのだろう?
今日はその疑問を解くべく
カフェインが健康に及ぼす影響について、
そして次回はカフェインが妊婦や子どもにどう影響するか、
最新の論文などを交えて
これを知っていれば
カフェインと一生上手に付き合える!
そんな情報をお届けします。
<カフェインは薬?毒?>
健康のために水を多めに、という言葉はよく聞きますが
コーヒーを健康のためにたくさん飲むことを
推奨する人には今のところお会いしたことはありません。
同じ水分でも水と扱い方が違うのは
やはりコーヒーに含まれているカフェインが中毒性をもつからでしょう。
そのため最近ではカフェインレスのコーヒーや紅茶が
たくさん目につくようになりました。
実際、売り上げはこの5年間で2倍になったとのこと。(日本コーヒー協会)
カフェイン摂取を控えたい人が増えてきているようです。
でも、カフェインは実際どう体に作用するのでしょうか?
中毒性以外のマイナス面はあるのでしょうか?
プラス面はどうでしょうか?
カフェインを知って
カフェインと上手につきあう方法を
もう一度見直してみます。
カフェインはコーヒーに一番たくさん含まれています。(100gに60g)
「カフェ」とはコーヒー類に含まれていることから名付けられたようです。
その他、紅茶や緑茶、ココアにも含まれています。
(カフェイン量は紅茶30g、煎茶20g、カカオマス70%のもので25g)
コーヒーや茶葉から抽出されたカフェインは
コーラの苦味料として使用されています。
最近人気のエナジードリンクにも入っていますね。
また、2004年までドーピング禁止薬物の中に
カフェインが含まれていました。
古くから知られるのはケシから抽出されるモルヒネ。
カフェインは
植物性アルカロイドという化合物の中まで
脳の中枢神経を刺激して
覚醒作用、鎮痛作用、利尿作用をもたらすのが特徴です。
つまり、頭がさえ、痛みを和らげ、
水分を体内に出して循環を良くする、ということ。
実際、コーヒーの匂い漂うカフェでは
仕事がはかどる!
カフェインの鎮痛・解熱作用を利用して
眠気薬、頭痛薬や風邪薬としても使用されています。
コーヒーは適切に摂取するとガンを抑制する、
という科学的データーがあります。
※国立がんセンターの調査・研究によると
肝臓がんと子宮体がんの予防に効果が
期待できるようです。
肝臓がんを抑える効果は「ほぼ確実」
子宮体がんを抑える効果は「可能性あり」
コーヒーに含まれるクロロゲン酸という物質が
体の中の炎症を抑え、酸化するのを抑える働き
があるとのこと。
https://www.ncc.go.jp/jp/cis/divisions/info/project/pub-pt-lib/20161204/20161204_01.pdf
このように、
様々な利点があるカフェインですが、
取り過ぎると毒として体に影響をもたらします。
毒は薬にもなりえる。
<取り過ぎはどんなものでも毒になる>
今、世界でカフェイン中毒のために死亡した例が増えています。
国内の例ですが、
日本中毒学会の調べでは、
全国38の病院を調べたところ、2011年から5年間で101人が病院に運ばれ、
うち3人が死亡。
また、去年までの5年間に、東京23区で、死因が分からず亡くなった人のうち、
36人の血液から高い濃度のカフェインが検出さたという報告がありました。
体の許容量を超えると確実に毒となりえるカフェイン。
では、どのくらいなら体に影響はないのでしょうか?
<カフェインは一日どのくらいなら大丈夫?>
カフェインの1回の摂取限度は、
体重1kgあたり2.5mg程度まで。
体重50kgであれば125mgという計算です。
コーヒー200mlには
80~100mgのカフェインが含まれています。
(ちなみに紅茶はコーヒーの半分量)
なので、50㎏の人なら一日2弱杯程度。
(でも、体の感受性も人によって違うので体の声を聴くのが一番いい。)
東洋医学的に言うと
コーヒーの苦みは心臓を弱めます。
血管系の病気のある方は控えるのをお勧めします。
妊婦や子どもも気をつけてとりましょう。
<中毒になるとどうなる?危険信号を知っておこう>
中毒は自覚症状があまりないのが困ったところです。
気が付かない。。。
では、どんな症状がでたら気を付けるべきなのでしょうか?
もし、
何度もトイレに行きたくなったり(利尿作用)
不眠症になったり(覚醒作用)
胃もたれ、吐き気、嘔吐、肌荒れ(胃酸分泌作用)
頭痛や疲労、心拍数増加(血圧上昇)
があれば中毒症状の危険性があります。
さらに進むと、手の震え、不安感、意識障害
などが現れるとのこと。
カフェインにはその他
パニック障害を悪化させる可能性や
長期的にとると、人によっては
高血圧リスクが高くなる可能性があることも示唆されています。
http://www.news24.jp/articles/2017/01/06/07350892.html
体への感受性、大切です。
<カフェイン飲料ガイドライン>
日本では一日の摂取量は指定されていませんが
欧州では細かくガイドラインがひかれています。
例えば
カナダ保健省(HC)では2010年に1日あたりのカフェイン摂取量として、
健康な成人で400 mg(コーヒーをマグカップで約3杯)まで、
カフェインの影響がより大きい妊婦や授乳中、あるいは妊娠を予定している女性は
300mg(コーヒーをマグカップで約2杯)までとされています。
世界保健機関(WHO)も含2001年に妊婦に対し、
コーヒーを1日3から4杯までにすることを呼びかけています。
また、英国食品基準庁(FSA)では、妊娠した女性に対して、
1日当たりのカフェイン摂取量を、WHOよりも厳しい
200mgに制限するよう求めています。
<カフェインを楽しむポイントは、どのくらいをいつ飲むか>
私たちの生活にはカフェインがたくさん。
コーヒー、紅茶、緑茶、ココアをはじめ、、、
エナジードリンクには80~150mg、
コカコーラは1本(470mlPET)あたり45mg
眠気防止薬には1回量につき100~160mg
風邪薬や鎮痛薬にもカフェイン配合のものがあります。
含有量ともう一つ大切なことは代謝時間です。
カフェインは、体内で代謝された後、
血中濃度の値が半減するまで4~6時間かかります。
その間に、さらにカフェインを摂取し続けると、
重篤な急性の中毒症状が表れることがあるようです。
自分の体重から、一日のくらいを、いつ飲むか、
ガイドラインを目安にコントロールすれば
体も心も健康に、楽しいカフェタイムが過ごせそうですね。
次回は妊婦、子どもへのカフェインの影響です。
<参考資料>
農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
脳科学辞典
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%B3
日本コーヒー協会
日本コカ・コーラ株式会社
https://www.cocacola.co.jp/