体は食べ物の化身
みなさん、今日の朝食は食べられましたか?何を誰とどんなふうに食べられましたか?
60兆個もあると言われている私たちの体の細胞、この一つ一つは今まで食べてきた「食べ物」でできています。目も内臓も血液も脳も、みなさんの爪も髪も肌も、、、
私達の体は「食べ物の化身」といっていいでしょう。一般的に2か月前に食べた物が今の体の状況に大きく影響すると言われています(赤血球は120日で入れ替わる)。
そしてこの60兆個の細胞は7年後にはもう違った細胞にすっかり入れ替わると言われています。つまり、7年前の私と今の私は違う体なんですね。一般には、胃腸が約5日で、心臓が約22日周期、肌が約28日周期、筋肉が約60日周期、骨は7年周期で入れ替わる、と言われています。
ということは、何をどう食べるかは2か月後、そして7年後の健康のために非常に重要、ということです。「自分が食べたいもの」と「体が欲しいもの」が違うことを見極めて食事を選ぶ必要があります。
ここまでは、よく知られている話ですが、食べ物が体だけでなく私たちの心の発達と状態に強く影響している、ということが科学的に分かり始めてきたようです。
今日は一つ論文を紹介します。
腸内細菌と気質
腸内細菌の状態と子どもの気質が関係があるということが京都大学大学院教育学研究の研究で発表されました(2024年9月6日 幼児期の気質は腸内細菌叢と関係するdevelopmental psychobiology)。今までも欧米のチームが研究を進めていましたが、はっきりとしたデータはでていなかったので大きな成果だと言えます。
この研究では、3~4歳の日本人幼児284人の便を調べ腸内細菌の多様性と構成の違いを評価、さらに幼児の母に質問紙による心理検査を依頼し、「腸内細菌叢と気質の関係」を調べました。
その結果、腸内細菌叢(腸内フローラ)の多様性と構成が、「感情表現、ストレス反応、環境に対する反応、衝動性」と深く関連あることが分かりました。実験では、細菌腸内の多様性が高い子どもほど、新しいことに挑戦したり、動機に基づいて行動しやすい特性を持つ、ということでした。腸内細菌は食べるものによって大きく変わります。
どうやら、何を食べるかが私たちの感情やストレスまでも左右している、私たちが考える以上に大きく影響している、とのこと。さらに言えば、気質には腸内細菌が関連しているならば、腸内細菌を改善することでメンタルヘルスのリスクを緩和、予防できる可能性がある、ということですね。
何を食べるかが未来の健康だけでなく今の心の状態を決めるなら、今日のおやつは〇〇ホテルのドーナツではなく有機栽培の果物がいいでしょうか?蒸し野菜でしょうか?それでは物足りませんか?何を選んだらいいか?必要なものってなんだろう????たくさん疑問は湧いてきます。
こうなると健康とは?という話になっていきますね。この話はまた別の機会に。
小さい頃の食生活は心の成長には欠かせない?
腸内細菌(腸内フローラ)の原型は3~5歳で安定する、と言われています。腸内細菌の構成や多様性は、精神的な安定と認知機能に関連しているので、幼児期の食生活はその後の成長にも大きく関わるようです。
3~5歳の時期は「前頭前野」が著しく成長する時期。前頭前野は感情をコントロールする力、推論力、記憶力、イメージなどの認知機能など「高次機能」を司る部位です。前頭前野の発達が大人になってからの健康状態や社会経済状況を予測することも知られており、幼児期の内臓と脳の発達がその後の土台になることが分かってきています。
戦争中に生まれた子どもの発達状態の低迷はよく言われている話です(国連広報センター)。ただ、これは食べ物だけでなく、家庭環境、教育環境など様々な要因が深く絡み合っているので「食べ物」だけが原因ではないことも知っておく必要があります。そして私たちの体と心には「柔軟性」があり、幼児期環境が悪くても挽回できる力もある、とういことも付け加えておきたいところです。
では、今日の夕食は何を食べよう?この記事を読んだ後、選ぶ食事が変わってくるのではないでしょうか?
今日もみなさんの健康を心から祈って
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