口癖の深層心理vol.3:本当に私たちは忙しい? (生物学的・社会的要因)

私達が普段気づかず使っている「口癖」は無意味な音の羅列ではなく、実は私たちの潜在意識を知る手がかりが隠されている「磨かれていない原石」です。口癖から私たちの無意識にある思いを知ることができるということを2回にわけてお話してきました

前回のコラム
1.口癖の深層心理vol.1:あの一言が人間関係と未来を変える
2.口癖の深層心理vol.2:心の主導権は無意識にあり?

さらに、現在無意識的に使っている日常の言葉を意識的に変化させるだけで一部の潜在意識が確実に変化し始め、感情、思考、行動の変化を感じることができます。もしかしたら口癖分析・改善は自己成長の最も安全で効果的な方法かもしれません。

前々回では「できない」を「しない」に変えることで、潜在意識の変化を試してみましたが、いかがでしたでしょうか?日常生活から「できない」という言葉を排除し、「しない」に変えるだけで、感情が変化し、思考・価値観が変わり、行動が変わり、次第に周りの人にも変化が現れてくる。人間関係の変化には少し時間が必要ですが、ひとまず10日、そしてまだできそうなら1か月、お試し期間を作ってこの効果を試してみましょう。

「ああ忙しい」:忙しいの心理

さて、今日はもう一つ日常でよく聞く口癖
「忙しい」
を心理学的に分析します。

「毎日朝から忙しいんだ」
「休日もやらなくてはならない用事がいっぱいで忙しい」
「ああ忙しい」

今このコラムをお読みのみなさん、最後に「忙しい」といったのはいつか、聞いたのはいつか、覚えてらっしゃいますか?つい言いたくなるこの言葉。SNSでも「忙しくて…」という言葉は至る所に見当たります。

「心を亡くす」と書いて「忙しい」と書きますが、気が散って落ち着かないという意味で平安時代から使われ始めた、と言われる説があるようです*¹。漢字から見る限りではあまりよくない印象を受けますが、現代の日本ではどちらかというと「忙しい」はいいイメージがあるのではないでしょうか?多忙であることは、元気で仕事があり社会で活躍している大人、そんな印象がありますが、みなさんはいかがでしょうか。

さて、日本人の「働きすぎ」はよく指摘される問題です。長時間労働による過労死の問題は深刻で、海外メディアでは”Karoushi”という言葉ができるくらい、日本文化の一つとして定着しつつあります。

実際どのくらいの時間働いているのか?世界各国と日本の労働時間を比べてみると、日本の年間平均労働時間は

1,607時間/年

これは44か国中30位のランキングになります。

これを見る限りでは、労働時間は突出して長い訳ではなさそうです。
ちなみに韓国は1901時間(5位)、
アメリカ1811時間(12位)、
イタリア1694時間 (21位)、
フランス1511時間(35位)、
ドイツは一番短い1341時間(44位)でした。

アメリカ人、イタリア人の方が長く働いている、というのは印象とはずいぶんかけ離れています。

祝日の数だけを見てみると、日本の祝日数は世界で3番目に多いことが分かります*²。ただし、有給休暇の活用率は世界最低ラインです。休みを取りにくい、場を重んじる国民性が出ているのでしょうか?

このように労働時間を見る限りでは、日本人は世界平均くらべると時間的には「忙しい」わけではなさそうです。では、私たちは何に忙しくしているのでしょうか?そこには生物学的・文化社会的・個人的心理、という3要素が背景に流れています。順番に見ていきましょう。

*とはいえ、日本にも長時間労働している社会人はたくさんおれ、過労死が深刻な問題であることは確かです。労働平均時間には職種、年齢、性別、地域によって大きな開きがあるようです

空きスケジュールが怖い?(生物学的要因)

科学学術雑誌サイエンスに発表されたある有名な心理学実験(2014)によると、人間は「何もしないたいくつな時間」を選ぶなら「多少つらい時間」を選ぶ傾向がある、といいます。

実験は被験者に15分間個室に入ってもらい、ただ静かにじっとしてもらう、というシンプルなものでした。この間はスマホも本も読まないで過ごしてもらいます。条件は「ただ起きて座っている」ことのみ。そしてこの実験で一つ特徴的なのは、目の前にはボタンで押して電気ショックを与える機械が設置されていることです。

被験者は実験事前にお金を支払うことで、実験中に電気ショックを自分が受けないよう契約でますが、もちろん払わないこともできます。そして、どうしても実験中に電気ショックを試したい、と思ったら、たとえお金を払っていてもボタンを押し電気ショックを自ら体験することもできる。この条件で実験を開始しました。

結果は、男性の67%、女性の25%が実験中に自らのこのボタンを押しました。実験後の調査では、5割以上の被験者が15分間の間何もしないのは退屈で、楽しめなく、心があちこちさまよっていた、と答えています。

さらに面白いことに、「単調な時間を避け刺激を求める傾向」は実験会場よりも家で実験を行うほうが顕著に現れたと言います。つまり外よりも家にいるほうが隙間時間にスマホをさわったり、テレビを見たり、本を読んだり、お茶を飲んだり「何かをしたくなる傾向」があり、静かにじっとリラックスしできない傾向があるようです。

この結果から、どうやら私たちは一人でいるとき、何もしないでいることよりも電気ショックというネガティブな刺激でもいいから何かしら「行動すること」で「刺激」を感じることを選ぶ、この大きな脳を喜ばすために外的刺激が必要である、というのがこの実験チームは結論でした。

私たちの中には「刺激欲求」という強い欲求があり、「何もしない」ことに苦痛を感じる性質がある、と心理学では考えます。この実験はこれを証明した貴重なデータでした。スケジュールを埋めたくなったり、空き時間に何かしてしまうのは、こういった生物的な欲求から「自らしたくなる」のが理由の一つと言えるかもしれません。つまり、私たちが忙しく感じるのは実は「自ら望んでいる」ことで、生まれ持った自然な行動であり、衝動に近い欲求と言えるかもしれません。

「多忙」はステータスシンボル(文化社会的要因)

生物学的欲求の他に、文化・社会的側面も見逃せません。「忙しさこそが現代におけるステータスシンボル」という研究がアメリカで話題を集めたことがありました(2019,ハーバードビジネスレヴュー)。忙しいのがいい、という見方は日本人だけではないんですね。ある統計によると「最近元気にしてる?」という問いにたいして10人中8人のアメリカ人がこう答えたそうです。

「最近、忙しいね」

コロンビア大学の調査によると、現代では「忙しい人」は「忙しくない人」よりも好印象で、より人物として重要視される傾向があり、忙しいということは、その人に対する社会の「需要」が高いことを示し、有能で人から望まれる資質を持っていることを示す、と言います。

ハーバードビジネススクールの調査によると、この傾向はアメリカでは1960年代から徐々に始まり、2018年には「自分は忙しい」「時間がない」と感じる人は全体の80%の割合に達した、とのこと。

アメリカでは一昔前は仕事で忙しくするよりも「暇とレジャー」を楽しむ人の方が印象の良かった文化背景がありましたが、「暇より忙しい方がいい」という日本に近い価値観に変化しているようです。アメリカ人の生活がずいぶん変わってきているようですね。

みなさんの「忙しい」は生物学的要因、社会的要因、どちらが強いでしょうか?自分の心をよく観察してみてください。どちらも同じくらいでしょうか?それとも他に理由がありそうでしょうか?では、今日は生物学的、社会的要因までにして、個人的要因(深層心理)は長くなるので次回に回します。読んでくださりありがとうございました。

みなさんの心身の健康を心からいのって

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