手とうがい
正しい食事、
適度な運動、
免疫力を上げる、etc..
ウィルス・細菌対策には
多方面からのアプローチが必要ですが、
今日はもう一つ、とても大切だけど見逃しがちな
ウィルス対策、「質のいい睡眠」について。
<睡眠の質があなたをウィルスから守る!>
睡眠の質が落ちると
ウィルスに対する抵抗力が落ちる、
というのは昔よりよく知られています。
ある研究によると
平均睡眠時間が7時間未満の人は、8時間の人と比較すると
風邪をひくリスクが3倍も高まることが分かりました。※1
また、1日の睡眠時間が6時間未満であった人は
7時間の睡眠を取った人と比べ
風邪をひく可能性が4.2倍高くなり、
睡眠時間が5時間未満では、
風邪をひく可能性は4.5倍もあった
という報告もありました。
別の研究では
21〜55歳の健康な男女153人の
14日間の睡眠時間や休息感などを聞き取り
眠りの質を評価した後、
風邪ウイルスを鼻に投与し、
風邪の発症率を見ました。
結果は、眠りの質が良い人ほど
発症率が低かったというものでした※2
たった一晩の睡眠不足でも
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)が
28%も低下することも分かっています。※3
※NK細胞:白血球の一種、リンパ球。外敵を常に監視し、
発見すればただちに攻撃と排除を行う、
初期防衛のスペシャリストと呼ばれる重要な役目を果たしている。
どうやら、わずかな睡眠不足であっても
免疫系には大きく影響するようです。
では、8時間寝ればいいのか、
というものでもなく、
あくまで「眠りの質」が
大切だということ。
そして眠りの質には個人差があることも
念頭に入れて考えたほうがよさそうです。
<質のいい睡眠を!睡眠アドヴァイザーからのお勧め10の睡眠法>
では、どのような睡眠が「いい睡眠」なのでしょうか?
はっきりと答えれたら、あなたも睡眠アドヴァイザーの一員です。
睡眠の質をどうあげるか、試行錯誤しているうちに
睡眠アドバイザーになった私ですが、
そのコツを10個にまとめて簡単にお伝えします。
睡眠は、私たちの体や心を調節している自律神経を
興奮する交感神経から
リラックスの副交感神経へと切り替え、
心身をリラックスさせてくれる時間です。
睡眠はまだまだ科学的には
分からないことの多い分野ですが、
少なくとも、
睡眠をとることで
脳は情報を整理し、
心は浄化され、
細胞は修復され、
心身ともにエネルギーを
充電することができます。
※ちなみに副交感神経が
働いているときNK細胞は活性化する。
免疫力を高めるには
まずは細胞のエネルギーをチャージする
ことがとても重要です。
ところが夜型になってきた現代は、
質のいい睡眠を毎晩とるために
ちょっとしたコツが必要になってきました。
以下、快眠方法を10個にまとめました。
1.規則正しい生活(早寝早起き。理想は10時までに寝る)
2.寝室の環境を整える(夏は25℃、冬は15度、湿度は通年50%が理想)
3.寝具を調える(保湿性、吸収性、発散性、布団の硬さ、枕の高さなど)
4.眠くないときは無理に眠ろうとしない。
5.寝る1時間前にはPCや携帯を使わず、脳の刺激を断つ。
6.部屋を暗くして(眠り物質メラトニン分泌量を上げる)
7.日中、太陽の光をよく浴び、よく働く
8.体温管理(寝る1時間前に体温を上げる。ヨガ、マッサージ、ぬるめのお風呂など)
9.夕食は寝る3~4時間前には済ます。または少なくする。
(人体の解毒部門、肝臓を休ませることでそのエネルギーを細胞修復に回す)
10.心的ストレスを減らす方法を用意しておく
(瞑想、日記などで心をリラックスさせ副交感神経を優位にする。)
この10のポイントをしっかいりおさえましょう。
必ず快眠、質のいい睡眠をとることができるでしょう。
<10の快眠方法の補足~何故10時までに寝る?>
でも何故10時までには
眠りについた方がいいのでしょう?
ちょっと早すぎる、
という声が聞こえてきそうですが、
体にとっては10時がぎりぎりの時間のようです。
それは、生理的なリズムに関係があります。
この細胞修復してくれる
ホルモンが出てくる時間が
10時~2時の間だからです。
さらに、
眠りはじめの徐波睡眠(ノンレム睡眠)の間に、
さまざまな種類の免疫細胞の濃度が
ピークに達っすると言われています。
それに加え成長ホルモンのレベルが
ピークに達し、細胞を修復してくれます。
この時間、逆にストレスホルモン(コルチゾールなど)の
産生が低下します。
つまり、10時から2時の間に
しっかりと細胞を修復しておくためには
10時がぎりぎりの時間、ということ。
日中傷ついた細胞が回復せずにいると
免疫力が弱まりウィルスや細菌に
対抗できなくなってしまう。
睡眠は私たちの健康にとって
絶対的な優先事項。
ウィルスに勝てるための免疫システム強化のためにも、
しっかりと十分な睡眠時間をとりましょう。
<寝不足ワーストナンバー1な日本人>
体は「免疫」の仕組みによって
ウィルスや細菌などの病原体から体を守っています。
ところが、
現代人、特に日本人は世界的に見ても
睡眠が不足しているといいます。
2015年の厚生労働省「国民健康・栄養調査」によると、
1日の平均睡眠時間が6時間未満の日本人の割合は20歳以上に限ると39.5%、
つまり、成人の約4割もの人が、
睡眠が足りていないといいます。
世界的に見ても睡眠不足は顕著です。
OECD(経済協力開発機構)の
2018年データベースによれば、
平均睡眠時間8時間25分に対して
日本人は31か国の中で一番短い7時間22分でした。
特に子どもたちの睡眠不足が目立ちます。
日本小児保健協会が
夜10時以降に寝る子どもの割合を調査したところ、
3歳児では1980年は約20%、
それが2010年には約50%まで増加しています。
どうやら
世界的に見ても睡眠不足の民族のようです。
その原因としては
「夜型生活」が進んだことにあるようです。
街は24時間電気であかあかしています。
コンビニなども24時間営業が増え、
PC・スマートフォンにより
就寝時間が次第に遅くなってきている。
そして、もう一つの大きな原因は
日本人の睡眠に対する意識の低さ。
寝るのを惜しんで一生懸命働くのが良いことが
なんとなく良いことのように聞こえる日本社会。
そんな環境で育った子どもたちが寝不足になるのも
自然なことですね。
睡眠不足になると
免疫力が落ち、ウィルスや細菌だけでなく
花粉症や各種アレルギーにもかかりやすくなりあす。
また、肥満になりやすく、結果
心臓病や脳卒中、動脈硬化の危険性、
そして糖尿病、高血圧などの生活習慣病やガンのリスクも高まる、
という研究も発表されています。
寝不足の代償は想像以上位大きい。
2017年には「睡眠負債」が流行語大賞をとるなど、
睡眠への関心が高まってきていますが、
睡眠の正しい知識を身に着け、
睡眠に対する意識を高めていくことは
ウィルス対策だけでなく、
たくさんの恩恵を私たちに与えてくれそうです。
皆さんの健康を祈って。
今日も読んでいただきありがとうございました。
参考HP:
日本睡眠科学研究所
参考文献
2.Prather AA, et al. Behaviorally assessed sleep and susceptibility to the Common Cold. Sleep. 2015 Sep 1;38(9):1353-9.
Int J Psychiatry Med.;15,13-8,1985-1986
2.Cohen, S., et al., “Sleep Habits and Susceptibility to the Common Cold,” Archives Internal Medicine, 2009, vol. 169, no. 1, pp: 62-67.
3.Irwin, M., et al., “Partial night sleep deprivation reduces natural killer and cellular immune responses in humans,” Faseb Journal, 1996, vol. 10, no. 5, pp: 643-653.